【Ｋ】 >>始まりの意図は終わりまで伸びるか。

召喚された時の話。
瀬古さん（＠開夢晴さん宅）お借りしてます！

私は水が大嫌いだった。

いまよりずっと昔、まだ私が小さかった頃、母の言いつけを守らず水辺に近づいたのが始まりだ。

幼かった私は、そこで足を滑らせて水の中へ落ちた。
偶然兄弟が通りがかって助けてくれたものの、その後母にきつく叱られた。


それから“水”というものが嫌いになった、正しく言えば、私が水に近づけばろくなことが起きなかった。





そう、あの日だってそうだった。








＊　＊　＊　＊





ただ走っていた、

重い足を引きずって、

ただひたすら前だけを見て、

ただ必死になって逃げていた、

後ろから迫ってくる者から、





目の前に岩の壁が見えてそして悟った、もう逃げられないと。




振り返ると自身を追ってきた者－ハンター－は武器を振りかざした。
それを見、反射的に目をつぶった。




もうだめだ、と思った。
頭の中にはハンターのにやりと笑う姿が頭に浮かんだ、



『やぁ、こんにちは。』



そう、浮かんだはずだった。

突然、空から声が聞こえた。




＊　＊　＊　＊








「目が覚めたのね、おはよう。」


目が覚めると、目の前には大きな岩の壁も無ければいつも見慣れた夕暮れも無かった。
目の前に広がるのは、青色、大嫌いな、青色。


「うわああああああああ！！？」


「お、お前は何モノだ！！？ここはどこだ！！！」
「威勢のいいお嬢さんね、でももうちょっと大人しくしていないと傷が」
「っいたたた･･･」
「ほら、言ったのに。」

女は呆れたようにため息をついて、カズラの傍に腰掛け、そしてほほ笑んで言った。



「貴方の質問にはちゃんと答えましょう、でも先に貴方の名前を聞かせて？」





始まりの意図は
終わりまで伸びるか。





（「･･･カズラだ、レガルタの民のカズラだ。」）
（「ありがとう。私は･･･そうね、“瀬古”よ。好きなように呼んでもらって構わないから。」）




女･･･瀬古は少し考える風なしぐさをして再度こちらを見て、そして続けた。


「･･･これからよろしくね、カズラ。」






（“カズラ”が、この言葉の意味を知るのはもうすぐ後の話。）